ふるさと納税と聞くと、規制されて随分と落ち着いたとは言え、返礼品競争のイメージが未だに強い。それもふるさと納税の一側面ではあるのだろうけど、そもそも故郷と結びつかないような返礼品を目にすると、いったいこれはなんのためにある制度なのだろうと疑問に思ってしまう。今回、取材させていただいたLOCUS BRiDGEは、そんな疑問にまっすぐに応えてくれる会社だ。

東京は上野から電車で約40分。LOCUS BRiDGEのある北本市は、埼玉県唯一の免許センターがある鴻巣市の1駅前にあります。
西口から降りると屋根のついた広めのロータリーがあり、居酒屋、コンビニ、カフェ、スーパーなど、駅前のやや賑やかな通りをすぎるとすぐに住宅街が広がります。そんな住宅街に混じって歯医者さんやブティック、パスタ屋さんが並ぶ通りにLOCUS BRiDGEは、この秋に引っ越してきました。
「2年前に3人になって、今は10倍の30人になりました」

そう話してくれたのは、代表の黒瀬さん。かつては長崎県平戸市職員時代にふるさと納税寄付金額を日本一にしました。
その後、フリーランスを経て、LOCUS BRiDGEを立ち上げ、程なくして埼玉県北本市の職員だった林さん、荒井さんが合流して3人でのLOCUS BRiDGEが2022年10月から始まりました。その始まりは、林さんが自身の会社の立ち上げに奔走しながら、黒瀬さんと二人で本(自治体のふるさと納税担当になったら読む本)を書いていたことから始まります。

「書きながら話をする中で、今、ふるさと納税に限らず自治体が、いろんな仕事を民間に出してるんですけど、受け手側は、行政経験者でもないから民間の思考で動いていて、稼ぐことが優先されてしまうんです。あんまりいいことが地域に起こってないなっていうのを感じてました。だからそこを会社として、ちゃんと本質的に伴走できる存在が必要だっていうのが、起業の理由だったんですけど、地域に対しての思いは黒瀬さんと一緒なので、だったら個々でやるよりも、そこは二人で組んだ方が、いい会社になるだろうってことで一緒にやり始めました」
林さんと一緒に北本市職員としてシティプロモーションなど担当していた荒井さんは、もともとは埼玉県本庄市の職員でした。

「北本が楽しそうだなと思って転職してきて3年間、まちの人とここまで一緒にやれると、こんなにいろんなことがいい方向に進むんだみたいなのが、すごい実感としてあって。自分がもし民間として、中間で何かできることがあれば、北本で起こっているようなことが、他のまちでも起こり得るんじゃないかみたいなことを、ずっと考えててモヤモヤしてたら、じゃあ来ちゃえばって黒瀬さんが言ってくれて、今にいたります」
じつは黒瀬さんが、ちょうどフリーランスになった頃に、林さんに呼ばれて、北本市のふるさと納税のアドバイザーを務めていました。そこから黒瀬さん、林さん、荒井さんの3人は、同じ方向を向きながら一緒に歩んできたと言ってもいいかもしれません。
そして荒井さんと同じように黒瀬さん、林さんに誘われて入った社員の方も少なくありません。今回お話を聞いた椎名さんもそのひとりです。
「林さんにうちの会社で一緒に働かないって誘われたことがきっかけです。公務員時代に同じものを目指していたような人たちと同じ環境で仕事ができるっていうのは、すごく幸せなことだなと思って入社しました」
黒瀬さんが平成28年(2016年)に登壇した「埼玉広報会議」に参加していたことがきっかけでLOCUS BRiDGEに入社したいう人は、椎名さんをはじめ何人もいます。当時は考えもしなかったけれど、意図せずLOCUS BRiDGEの礎を築いた会議でした。

「埼玉広報会議ではたくさんの出会いがありましたね。だからこそ、いろんな人にとって意義のある大きなイベントになった気がします」
そんな広報・シティプロモーションもLOCUS BRiDGEの大きな軸のひとつ。でも今回募集するのは、ふるさと納税の業務を担ってくれる人。
担当自治体さんと協力して返礼品を出してくれる事業者さんの開拓から折衝をするだけでなく、ふるさと納税ポータルサイトのページ作成や事業者さんへのヒアリング、時には商品撮影をすることもあります。そして返礼品の受発注や、それに伴う事務作業と挙げればきりがないほど業務はある。
でも営業的なことからクリエイティブ、そして事務的なことまで、最初から最後まで担当することができるのは、貴重な経験になるのは間違いない。始まったばかりのベンチャー企業故とも言えるけれど、むしろそれが自治体さんや事業者さんと伴走するLOCUS BRiDGEだからこその楽しさでもあるかもしれません。
そんな自治体さん、事業者さんとの伴走を入社して半年ほどで椎名さんは経験しました。
「埼玉県所沢市で2024年の8月末からスタートして、最初の1ヶ月半ぐらいで40社周りました」

埼玉県所沢市は、ふるさと納税を休止していました。だからゼロから始めなければならないことも多かったけれど、自治体さんが事前準備をしてくれていたこともあって、その40社のうち30社以上が返礼品を出してくれることになりました。
こんな話を聞くと寝る間も惜しんでやっているのかと思うかもしれないけれど、すべての業務をひとりでこなしているわけではありません。椎名さんは主担当として自治体さんや、事業者さんの前に出て提案やヒアリングなど打ち合わせを中心に担当します。受発注やページの作成など事務的な仕事は、副担当やデザイナーさん、またはパートさんに仕事を分担して行います。
基本的には各自治体さんに主担当、副担当、デザイナーの3人体制。経験に応じて、まずは副担当から始めてもらうことが多いけれど、ゆくゆくは主担当を担ってもらうイメージ。
「間近で見ているからこそ、主担当ってすごいなって思うので、今の私からすると主担当になることは全く考えられないです」

そう笑顔で答えてくれたのは、入社して6ヶ月の嶋田さん。行政関係の仕事を独立行政法人で経験したけれど、どこを向いて仕事をしたいかを考えた末に、LOCUS BRiDGEの自治体や事業者さんの方を向いて仕事している姿勢に惹かれて入社しました。
嶋田さんは主担当のどんなところがすごいと感じたのだろう。
「ある事業者さんのケースで、寄付金は入っているけれど、返礼品の調達ができていということがありました。返礼品がどうしても用意できないなら、キャンセルせざるを得ないのかなと思ったんですけど、主担当に相談したらキャンセルせずに、同じ返礼品を提供している別の事業者さんに頼んで卸してもらうことになりました」
「そういうトラブルがあったときに、この事業者さんだったらいけるんじゃないかっていう、ひらめきとか発想はもちろんなんですけど、実現にいたるには、日頃のコミュニケーションや信頼関係がないとできないことなので、改めて主担当ってすごいなって思いました」
まさに今、LOCUS BRiDGEが求めているのも、そんな人です。

「立ち上がったばっかりの会社だから、いろんな体制も整っていないし、私たちが経験していないような課題も次々に起きていくと思います。そのときに自分ごととして、どうなればよくなるかを、一緒に考えて進める人がいいかなとは思います」
仕事を自分ごとにするのは決して簡単なことではないかもしれないけれど、自分ごとにしたからこそ、より響くこともあるのだと思う。
「コールセンターで電話を取ることもあるんですけど、電話の内容がお米の美味しさに感動しすぎて、こんな美味しいお米があったなんて知らなかったっていう、すごい褒めてくださる寄付者さんのお電話で。またふるさと納税をここにしますねって言ってくださったのはすごく嬉しかったし、それを事業者さんにお伝えしたら、事業者さんもそんな風に言ってもらえて嬉しくて頑張りますって言ってくださって。本当に良い連鎖だなと思いました」
返礼品ばかりに目がいくと、まるでネット注文で商品を受け取っていると思いがちだけど、本来は寄付金に対するお礼。事業者さんは潤うし、寄付いただいた自治体さんも新たなことに活用できるし、何より返礼品をもらった寄付者さんがこんなに喜んでいると知ると、じつは誰も損をしない制度だと改めて気付かされる。だからこそ自分ごとにすることは大事なことなんだと思う。

「この会社がどうであれ、あなたの人生は確実に豊かになるっていうのは伝えてます。それは地域の人と触れ合うことによって、今までになかった選択肢、価値っていうものを見出すことのできる仕事だと思うので、たとえば米ひとつでも、農家さんと関わったら、米を買うときに、あの人の米がいいなとか、あの人、元気かなとかでも全然いいと思うんですよね。それって、こんなに便利な世の中になってると、なかなか得られないことだと思います」
「でもそのためにあなたがどう向き合うのかっていうのは考えてほしい。仕事だからいくのか、埼玉県民だからいくのか、人として向き合おうとしているのか、それはどれも間違ってるわけじゃないけど、相手は人生かけてやってる人だから、やっぱり人として向き合えるぐらいの人間力があるといいよねっていうのは、いつも話してます」
人間力を試されると思うと、ちょっと重いと思うかもしれないけれど、でもたとえば、今まで自分が培ってきた経験を活かせると思うとまた違う未来が見えてくるかもしれない。

「たとえば、不動産事業をやってた人だったら、最初はふるさと納税で地域に関わるけど、その地域で空き店舗の課題が出たら、不動産事業の経験を活かしながら、起業支援して、起業した人の返礼品をふるさと納税で出すとか、スキルによって他の仕事はできると思います」
3人で動き出してまだ2年。人数こそ10倍になったけれど、ふるさと納税を軸にしながら、まだまだ可能性を感じられる会社です。だからこそ、これから人間力を身につけたい人も、自分の人間力をためしたい人も、一緒に歩んでいけるような仕事だと思いました。
(2024年11月5日取材/2025年2月1日更新)
募集ポジションの詳細や条件については、下記の詳細ページをご確認ください。
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